筆者について
こんにちは、maryです。IT企業でプロダクトマネージャー・UXデザイナーとして働いています。
今回は、プロダクトマネージャーを目指す方や、すでにPMとして活動されている方に向けて、実際に私が現場で活用している書籍をご紹介します。
プロダクトマネージャーを目指すあなたは、こんな悩みはありませんか?
「プロダクトマネージャーになりたいけど、何から勉強すればいいかわからない」
「PM1年目だけど、現場で本当に役立つ知識を身につけたい」
「たくさん本があるけど、どれを優先して読むべき?」
プロダクトマネージャーは幅広い知識とスキルが求められる職種です。だからこそ、体系的な学習が重要になってきます。実際に私も1年目の頃は、どの本から読み始めるべきか悩み、結果的に遠回りをしてしまった経験があります。この記事では、そんな過去の私のような方に向けて、効率的に学習できる書籍を厳選してお伝えします。
プロダクトマネージャーが本を読むべき理由

1. 多角的な視点を身につけるため
プロダクトマネージャーには以下のような様々な視点が求められます:
- ユーザー視点
- ビジネス視点
- 技術視点
- デザイン視点
これらの視点を同時に持つことは、実務経験だけでは難しいものです。特にユーザー視点とビジネス視点のバランスを取ることは、多くのPMが苦労するポイントでもあります。書籍を通じて先人の知恵を学ぶことで、現場での判断力が大幅に向上します。私自身も、ユーザーニーズを重視しすぎてビジネス価値を見失いそうになった時期がありましたが、適切な書籍から学ぶことでバランス感覚を身につけることができました。
2. 実践的なフレームワークを習得するため
現場ですぐに使える手法を学ぶことで、日々の業務効率が向上します:
- 優先順位付けの手法
- データ分析のアプローチ
- プロジェクト管理の技術
フレームワークは思考の整理に非常に有効です。例えば、機能の優先順位を決める際に「なんとなく重要そう」で判断するのではなく、体系的なフレームワークを使うことで、チーム全体が納得できる合理的な判断を下せるようになります。私も初期の頃は感覚的な判断に頼っていましたが、フレームワークを活用するようになってから、ステークホルダーとの議論がスムーズになり、プロジェクトの進行速度も向上しました。
3. 失敗事例から学ぶため
先人の経験から学ぶことで、同じ失敗を避けることができます。
プロダクト開発には多くの落とし穴があり、経験の浅いPMほど同じような失敗を繰り返しがちです。書籍で紹介される失敗事例を事前に知っておくことで、リスクを回避し、より効率的に成功に近づけます。実際に私のチームでも、書籍で学んだ失敗パターンを参考にして、プロジェクト初期段階でリスクを特定し、事前に対策を講じることができた経験があります。
初心者PMにおすすめの必読書5選
1. 『INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント』by マーティ・ケーガン
シリコンバレーの伝説的なプロダクトマネージャーが書いた、プロダクトマネジメントの教科書的存在です。顧客に愛される製品を作るための具体的な手法が詳細に解説されています。
なぜプロダクトマネージャーにおすすめか
- プロダクトマネジメントの全体像を把握できる
- Google、Amazon、Netflix等の実践的なケーススタディが豊富
- エンジニア、デザイナーとのチームビルディング手法が学べる
この本の最大の魅力は、理論だけでなく実際の現場での適用方法まで詳しく解説されていることです。特に、プロダクトディスカバリーとプロダクトデリバリーの違いについての説明は目から鱗でした。多くのPMが「何を作るか」と「どう作るか」を混同してしまいがちですが、この本を読むことでその違いを明確に理解できるようになります。また、チームマネジメントの章では、エンジニアやデザイナーとの効果的な協働方法が具体的に示されており、実際のプロジェクトでも大いに参考になります。
こんなPMにおすすめ
- プロダクトマネジメント全般の知識を深めたい方
- 顧客志向の製品開発方法を学びたい方
- チームマネジメントに悩んでいる方
特に、チーム内でのコミュニケーションに課題を感じている方には強くおすすめします。私自身も、エンジニアとの認識齟齬で苦労していた時期がありましたが、この本で学んだコミュニケーション手法を実践することで、チーム全体の生産性が大幅に向上しました。
2. 『リーン・スタートアップ』by エリック・リース
「構築→計測→学習」のサイクルを回すことで、無駄なく効率的に製品開発を進める手法を解説しています。現代のプロダクト開発において必須の考え方です。
なぜプロダクトマネージャーにおすすめか
- MVP(最小実用製品)の考え方が身につく
- データ駆動型の意思決定プロセスが学べる
- ピボットの判断基準と方法がわかる
この本で特に印象的だったのは、「思い込みによる開発」から「検証による開発」への思考転換です。多くのプロダクトチームが、ユーザーが本当に求めているものを確認せずに機能開発を進めてしまいがちですが、リーンスタートアップの手法を使うことで、最小限の労力で仮説を検証できるようになります。私のチームでも、大型機能をいきなり開発するのではなく、まずは簡易版でユーザーの反応を見るアプローチを取り入れたところ、開発コストを大幅に削減しながら、より良いプロダクトを作ることができました。
こんなPMにおすすめ
- スタートアップ環境で働いている方
- 新規事業開発に携わっている方
- データ分析に基づいた意思決定を学びたい方
特に、限られたリソースで最大の成果を出したい方には必読の書籍です。スタートアップだけでなく、大企業の新規事業部門でも十分に活用できる内容となっています。
3. 『プロダクトマネジメント ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』by メリッサ・ペリ
「機能を作ること」と「価値を届けること」の違いを明確にし、真に顧客に価値を提供するプロダクトマネジメントの在り方を解説しています。
なぜプロダクトマネージャーにおすすめか
- ビルドトラップの回避方法が学べる
- 戦略的思考の重要性を理解できる
- 組織レベルでのプロダクト中心の変革手法がわかる
この本は、多くの組織が陥りがちな「ビルドトラップ」について警鐘を鳴らしています。ビルドトラップとは、機能をリリースすることが目的化してしまい、顧客への価値提供を見失ってしまう状況のことです。私も以前、機能のリリース数を KPI にしていた時期がありましたが、この本を読んで「アウトプットではなくアウトカムを重視する」重要性を学びました。結果として、リリース数は減ったものの、ユーザー満足度と事業成果は大幅に向上しました。
こんなPMにおすすめ
- 大企業でプロダクト開発に携わっている方
- 組織改革に関わっている方
- 戦略的なプロダクト設計を学びたい方
特に、既存の大きな組織でプロダクト開発に関わっている方には、組織文化の変革についての具体的なアドバイスが非常に参考になるでしょう。私自身も、この本で学んだ組織変革の手法を参考に、チーム内の評価制度や目標設定を見直すことができました。
4. 『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費者行動の考え方』by クレイトン・M・クリステンセン
顧客が商品を「雇う」理由を理解することで、真のニーズを発見し、イノベーションを生み出す手法を解説しています。プロダクト企画の本質を学べます。
なぜプロダクトマネージャーにおすすめか
- 顧客の真のニーズ発見方法が身につく
- 機能ではなく「ジョブ」での競合分析視点が学べる
- 予測可能なイノベーション創出の方向性がわかる
ジョブ理論は、顧客行動を理解する上で革命的な考え方です。従来のペルソナ分析や市場セグメンテーションでは見えてこない、顧客の本質的なニーズを「ジョブ(雇用)」という概念で捉える手法は、プロダクト企画において非常に有効です。私のチームでも、この理論を活用してユーザーインタビューを再設計したところ、従来では気づけなかった潜在ニーズを発見し、新しい機能アイデアを生み出すことができました。また、競合分析においても、単純に機能比較するのではなく、「同じジョブを解決している他のソリューション」という広い視点で市場を見ることで、新たなビジネスチャンスを見つけることができます。
こんなPMにおすすめ
- 市場調査・顧客分析に携わっている方
- 新規プロダクト企画を担当している方
- イノベーション創出に興味がある方
特に、既存市場での差別化に苦労している方や、新しい市場機会を探している方には、この本の考え方が大きなヒントになるはずです。
5. 『プロダクトマネジメントのすべて』by 及川卓也、曽根原春樹、小城久美子
日本のプロダクトマネジメントの第一人者たちが、実務経験をもとに書いた日本人向けのプロダクトマネジメント入門書です。
なぜプロダクトマネージャーにおすすめか
- 日本企業での実践例が豊富
- すぐに現場で使える具体的な実務手法が学べる
- PMとしてのキャリアパスの指針が得られる
この本の大きな特徴は、海外の事例だけでなく、日本企業の特殊な環境や文化を考慮した実践的なアドバイスが豊富に含まれていることです。例えば、日本企業特有の意思決定プロセスや、エンジニアとの関係性、上司との調整方法など、海外の書籍では学べない具体的なノウハウが満載です。私も、外資系企業から日系企業に転職した際に、この本で学んだ日本企業での立ち回り方が非常に参考になりました。また、PMのキャリアパスについても具体的に解説されており、将来的にどのようなスキルを身につけるべきかの指針も得られます。
こんなPMにおすすめ
- 日本企業でPMとして働いている方
- プロダクトマネジメントの全体像を日本語で学びたい方
- 実務に直結する知識を求めている方
特に、PMとしてのキャリアをスタートしたばかりの方には、日本語で書かれた包括的な入門書として最適です。英語の専門書に抵抗がある方でも、まずはこの本から始めることで、プロダクトマネジメントの全体像を効率的に把握できるでしょう。
レベル別:おすすめ本の選び方
初心者PM(0-1年目)
まずは基礎固めから始めましょう:
- 『プロダクトマネジメントのすべて』(日本語で基礎を学ぶ)
- 『リーン・スタートアップ』(基本的な考え方を理解)
- 『INSPIRED』(実践的な手法を学ぶ)
初心者の方は、まず日本語で書かれた包括的な入門書から始めることをおすすめします。プロダクトマネジメントの専門用語や概念に慣れることが重要だからです。『プロダクトマネジメントのすべて』で全体像を把握した後、『リーン・スタートアップ』で現代的な開発手法を学び、最後に『INSPIRED』でより実践的なテクニックを身につけるという順序が理想的です。私自身も、この順序で学習したことで、効率的にスキルアップできました。
中級者PM(2-3年目)
スキルの幅を広げる段階です:
- 『プロダクトマネジメント ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』
- 『ジョブ理論』
- 『Lean Analytics』(データ分析強化)
中級者の方は、基本的なプロダクトマネジメントスキルを身につけた上で、より深い戦略的思考や分析力を養う段階です。ビルドトラップの概念を学ぶことで、機能開発の罠を回避し、ジョブ理論で顧客理解を深め、Lean Analyticsでデータ分析力を強化するという流れが効果的です。この段階では、単なる手法の習得だけでなく、なぜその手法が重要なのかという本質的な理解が求められます。
上級者PM(4年目以上)
リーダーシップを磨く段階です:
- 『The Hard Thing About Hard Things』(経営視点)
- 『Escaping the Build Trap』(組織変革)
- 『Product Leadership』(リーダーシップ)
上級者の方は、個人のスキルアップだけでなく、チームや組織全体への影響力を考える段階です。経営層の視点を理解し、組織変革を推進し、他のPMを育成するリーダーシップが求められます。これらの書籍は、PMとしての技術的なスキルだけでなく、ビジネスリーダーとしての素養を身につけるのに役立ちます。
効果的な読書術とアクションプラン
読書を成果に繋げるために、以下の方法を実践してみてください。
1. 読書ノートの作成
- 学んだフレームワークを整理する
- 実践できそうな手法をピックアップする
- 現在の課題との関連付けを行う
読書ノートは単なる要約ではなく、自分の現在の状況や課題と関連付けて記録することが重要です。私は、各章を読み終えるごとに「今の業務にどう活かせるか」「来週から実践できることは何か」を必ず書き留めています。また、疑問に思った点や、さらに深く学びたい領域もメモしておくことで、後の学習計画にも役立てています。デジタルツールを使う場合は、検索機能を活用して過去のノートを振り返りやすくすることもおすすめです。
2. 実践と振り返り
- 学んだ手法を1週間以内に実践する
- 月次で振り返りを行う
- チームメンバーと共有する
学んだ知識は実践してこそ価値があります。読書で得た知識を1週間以内に実際の業務で試してみることで、理論と実践のギャップを埋めることができます。私の場合、新しいフレームワークを学んだら、次のチームミーティングで必ず使ってみるようにしています。うまくいかない場合もありますが、その失敗も含めて月次の振り返りで分析し、次回の改善につなげています。また、チームメンバーと学習内容を共有することで、組織全体のレベルアップにも貢献できます。
3. 継続的な学習
- 月1冊のペースで読書する
- 読書会を開催する
- ブログや社内発表でアウトプットする
継続的な学習のためには、習慣化が不可欠です。月1冊というペースは、忙しい業務の中でも続けられる現実的な目標だと思います。また、読書会を開催することで、他の人の視点や解釈を知ることができ、より深い理解につながります。私も社内で月1回の読書会を主催していますが、同じ本を読んでも人によって着目するポイントが違うため、毎回新しい発見があります。さらに、ブログや社内発表でアウトプットすることで、知識の定着と体系化が促進されます。
まとめ:PMとして成長するための読書術
プロダクトマネージャーとして成功するためには、継続的な学習が不可欠です。今回紹介した5冊の本は、私自身がプロダクトマネージャーとして実際に現場で活用し、効果を実感した書籍です。
重要なポイント:
- 段階的な学習:レベルに応じて読む本を選ぶ
- 実践重視:読んだ内容を必ず現場で試す
- 継続的な学習:トレンドに合わせてアップデートする
これらのポイントの中でも、特に「実践重視」の姿勢が重要だと考えています。どんなに優れた理論や手法も、実際に使ってみなければ身につきません。私自身も、読書で得た知識を実践する過程で多くの失敗を経験しましたが、その失敗こそが最も価値ある学習につながりました。また、プロダクトマネジメントの分野は常に進化しているため、定期的に新しい知識を取り入れることも大切です。
特に1年目のPMの方には、『プロダクトマネジメントのすべて』から始めることをおすすめします。日本語で書かれており、国内企業での実践例も豊富で理解しやすいからです。
プロダクトマネージャーとしてのキャリアを成功させるために、ぜひこれらの本を活用してください。読書だけでなく、実際の業務での実践と振り返りを通じて、真のスキルアップを目指しましょう。
読者の皆さんへ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が、プロダクトマネージャーを目指す皆さんや、すでにPMとして活動されている方々の成長の一助となれば幸いです。
プロダクトマネジメントは挑戦的で複雑な仕事ですが、ユーザーに価値を提供し、ビジネスを成長させる非常にやりがいのある職種でもあります。今回ご紹介した書籍が、皆さんの学習の出発点となり、より良いプロダクトを世に送り出すためのスキルアップにつながることを願っています。
皆さんがユーザーに愛される素晴らしいプロダクトを世に送り出し、充実したキャリアを築いていかれることを心から応援しています。PM関連の記事はこちらです、ぜひ他記事も読んでみてください!