こんにちは。日本の大手メガベンチャーに所属するPdMのMaryです。
ネットが普及してデジタル時代になって、企業のマーケティング戦略も新たな視点が必要ですが、「どのような取り組みをしたらいいのかわからない」「成果が出ない」という悩みを抱えていませんか。
この記事では、消費者との「双方向のコミュニケーション」を大切にする「AISAS(アイサス)モデル」について紹介します。AISASモデルは、最新の消費者行動を解明し、企業のマーケティング戦略に新たな視点をもたらしてくれる強力なフレームワークとして注目されています。
この記事では、AISASモデルとは何か、実践的な活用方法や具体例を交えて紹介します。特にプロダクトマネージャーとして、キャリアをスタートしたばかりの皆さんや、20代のスキルアップを目指すビジネスマンに知ってほしいポイントを解き明かしますので、参考にしてみませんか。
1. AISASとは何?AISASモデルとAIDMAモデルの違い
「AISAS(アイサス)」とは何かからまず紹介します。2004年に電通が提唱したマーケティング理論の1つですので、それ以前の「AIDMA(アイドマ)」との違いについてもまず見ていきます。
「AISAS(アイサス)」とは何?
「AISAS」とは、次の頭文字からできた消費者の購買行動モデルを表わすマーケティング用語です。
- Attention(注目)
- Interest(関心)
- Search(検索)
- Action(行動)
- Share(共有)

「AIDMA(アイドマ)」との違い
「AIDMA(アイドマ)」とは、次の頭文字からできた消費者の購買行動モデルを表わすマーケティング用語です。
- Attention(注目)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(購買行動)

「AISAS」と「AIDMA」は、消費者の注目、関心までは一緒ですが、「AISAS」の場合は、消費者自身が検索して情報を調べてから購買行動や共有の流れになるのが違いです。
デジタルメディアが浸透した現代において、消費者は従来の広告だけでなく、オンライン検索やSNS、口コミを駆使して自らの購買意思を形成しています。
そのため、マーケティングを考えた場合、広告もデジタル時代の購買行動を考える必要があります。これまでの「一方向の広告」から、消費者との「双方向のコミュニケーション」を図るマーケティングになっているのが大きな変化です。
消費者とコミュニケーションを取ることで、潜在層へよりアプローチすることが必要な時代です。
「AISAS」では、「AIDMA」と異なり、購入という行動後の「共有(Share)」フェーズが加わっているのも特徴と言えます。口コミやSNSの力が次の購買行動を促進するという点が大きな違いです。
2. なぜAISASなのか?AISASモデルの5つのフェーズの意義とは
なぜAISASが必要なのか、AISASの「Attention(注目)」「Interest(関心)」「Search(検索)」「Action(行動)」「Share(共有)」の各フェーズが重要なのか、AISASモデルの基礎とその意義について次に紹介します。
AISASの5つのフェーズをどう理解する?
AISASでは、マーケティングでの購買行動プロセスを5つのフェーズごとにどう理解するのかを見ていきます。
1. Attention(注目)
AISASでも消費者の購買プロセスは、まず「注目をしてもらう、注意を引く」ことから始まります。
現在はチャネルとして、SNS、オンライン広告、ブログ記事、口コミ、動画コンテンツなど、多様なメディアが活用されてます。特に、YouTube広告の効果やTikTokマーケティングの活用が有効です。
戦略としては、目立つビジュアル、キャッチーなコピー、インフルエンサーとのタイアップなど、消費者の目を引く仕掛けが不可欠となっています。
そして、プロダクトマネージャーとしては、ターゲット層がどのチャネルで情報に触れているかをデータで把握し、効果的なプロモーション戦略を立案することが大事です。
2. Interest(関心)
Attentionで「注目」した消費者は、次にその商品やサービスに「関心」を抱き、詳細な情報に触れるようになります。
ここでは、ブランドストーリー、製品の特徴、ユーザー体験談などの質の高いコンテンツを提供することで、消費者の関心を呼ぶことが大切です。
ブログ記事、製品レビュー、動画、ウェビナーなど、深い関心を喚起するコンテンツを充実させる戦略が必要です。
プロダクトマネージャーとしては、自社製品の魅力をどのように伝えるか、具体的なユーザー事例やケーススタディを用いて、ブログやホワイトペーパー、動画などで積極的に消費者の心に響くメッセージを構築してください。
3. Search(検索)
「興味」を持った消費者は、次に「オンライン検索」などでさらなる情報を集めます。
ここで得られる情報が、最終的な購買判断に直結するため重要です。
SEO対策、コンテンツマーケティング、ユーザーが求めるQ&Aコンテンツの整備が必要です。
プロダクトマネージャーとしては、消費者がどのキーワードで検索しているか、どの情報が不足しているかを分析し、サイト内のコンテンツの充実や改善に努めてください。
4. Action(行動)
「検索」をし、詳細な情報を収集した後、消費者が実際に「行動」をするかどうかが大事です。
オンラインでの購入、問い合わせ、資料請求、アプリのダウンロードなどの行動を行います。
この段階では、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上、簡単な購入プロセスの提供、安心感やカスタマーサポートの整備が鍵です。
プロダクトマネージャーとしては、商品やサービスの使いやすさを訴え、購入フローの最適化を目指し、コンバージョン率を高める施策の検討が必要です。
5. Share(共有)
購入などの「行動」後、消費者は自身の体験をSNSや口コミサイト、ブログなどで「共有」します。
ポジティブなレビューや口コミは、次の「Attention(注目)」フェーズを促進し、ブランド認知の向上に役立つため重要です。
顧客満足度の向上、リワードプログラム、インセンティブ施策など、共有を促す仕組みを作ってください。
プロダクトマネージャーとしては、消費者からのフィードバックを収集し、製品改善に活かすとともに、ソーシャルメディアでのブランドコミュニケーションの強化が大事です。
そしてまた、こうした各フェーズのデータをもとに、PDCAサイクルを回し、迅速に戦略を見直して改善することも重要になります。
3. AISASモデルを活用したデジタルマーケティング戦略とは
実際にAISASモデルを活用して、どのようなデジタルマーケティング戦略ができるのかを知ってみたいでしょう。マーケティングやプロダクトマネージャーの立場では、実際に行ってみると難しく感じることもあります。
次のように活用して戦略を立ててみることがおすすめです。
1. コンテンツマーケティングとSEO戦略やSNSについて
各フェーズに合わせたコンテンツの提供やSEO戦略やSNS戦略などが、AISASモデルの成功に直結します。
例えば、
- 「Attention」「Interest」のフェーズでは、
魅力的なブログ記事、動画、インフォグラフィックス、ケーススタディなどでブランドの魅力を伝えることが大切です。特に最近では動画によるインパクトの強化やブランディングが盛んです。
- 「Search」のフェーズでは、
SEO対策を強化し、ターゲットユーザーが検索するキーワードで上位表示を目指します。上位表示を目指し、目立たせることが必要です。
Webサイトやブログなどの自社オウンドメディアで、SEO対策をして消費者が知りたい情報などを提供する方法もおすすめです。最新の情報などを提供していくといいでしょう。
- 「Action」のフェーズでは、
行動に結び付けるため、ユーザーフレンドリーなサイト設計と、シンプルな購入フローを作ることが大切です。そのため、ユーザビリティのテストやABテストを繰り返して行うといいでしょう。
- 「Share」のフェーズでは、
SNS上でのキャンペーンやレビューなどを増やし、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を促進して口コミ効果を最大化することが効果的です。
2. SNSマーケティング戦略について
特にSNS活用が大事で、Instagram、Twitter、LinkedInなどを通じて、ユーザーの声をリアルタイムでキャッチし、ブランド価値を高めることが重要です。
実際のユーザー体験を元にしたレビューや口コミ評価を促進することで、新たな顧客のAttention(注目)を得られます。
プロダクトマネージャーとしては、自社製品の強みや改善点を、消費者のフィードバックから迅速に把握し、次のプロダクト改善に繋げる体制を整えるといいでしょう。
例えば、
- タグ付けをしてSNS投稿をしてもらう
- レビューを投稿してもらってクーポンを配布する
などで投稿やレビューを増やす試みが大切です。
3. オムニチャネル戦略の実践と最適化について
消費者との双方向コミュニケーションを促進するため、オンラインとオフラインをシームレスに連携させるオムニチャネル戦略も効果的です。
また、各チャネルで統一されたメッセージとサービスを提供し、消費者に一貫した体験を提供してブランド価値を高めることも大切です。
プロダクトマネージャーとしては、各チャネルごとのユーザーデータを統合し、消費者の行動パターンを分析することで、最適なチャネルミックスを選んでください。例えばSNSでも、line、X、Instagramなど、どのSNS戦略が効果的なのかを最適化してください。
4.AISASを活用した企業の成功事例
AISASを活用して成功した企業の事例についても紹介します。AISASの活用でよく知られている企業の例です。具体的にどのように活用したのかを参考にしてみるといいでしょう。
スターバックス
- Attention(注目)
新商品やキャンペーンの情報提供をスターバックスは、特にSNSで多く行っています。広告費をかけずに、XやInstagramなどの多くのフォロワーから、商品の認知拡大を図っています。SNSや公式アプリを活用してより早く情報を伝え、消費者が率先して情報を拡散させています。タイムリーな情報提供も可能にしています。
- Interest(関心)
投稿やシェアされた情報を見た潜在層が、商品に興味を持ち、さらに商品画像付きなどでリツイートをして情報が拡散しています。そのため、どんどん情報が拡散している状況です。
消費者の興味や関心を引き付けられるように、新商品、季節商品の紹介や店舗の雰囲気を伝えるビジュアルコンテンツを毎回展開している点も魅力です。
- Search(検索)
スターバックスの公式サイトやSNSアカウントで、消費者が自ら商品の詳細情報や口コミを多く検索しています。多くのユーザーはハッシュタグを活用した検索や投稿を行っていて、検索エンジン最適化(SEO)やSNSの運用も充実しています。
- Action(行動)
また、スムーズな購入プロセスとその都度魅力的なキャンペーンを展開し、新商品のプロモーションなどがビジュアル的にも購買行動を促しています。
- Share(共有)
購入後、消費者が誰かとシェアしたくなるような魅力的なコンテンツやキャンペーンを実施して拡散しています。SNS映えする商品や外観、おしゃれな雰囲気などでブランディングができていて、拡散されやすい状況です。
ライザップ
- Attention(注目)
「結果にコミット」というフレーズと、耳に残りやすい音楽でCMを集中的に流し、RIZAPのCMを知らない人はいないほど注目されています。
- Interest(関心)
誰もが知っている著名人を起用し、ビフォーアフターの映像で興味、関心を集めました。「2ヶ月でこの体」「結果にコミットする」というわかりやすいコピーも効果を発揮しました。
- Search(検索)
検索した顧客を誘導するHPも充実させています。アフィリエイターを使い、「RIZAP 悪評」や「RIZAP 不満」などのネガティブなワードで検索しても、ポジティブな内容が出るように工夫しています。
- Action(行動)
2ヶ月で29万8,000円という高額な料金設定となっていますが、「30日間の全額返金保証制度」で、効果が出ず不満の場合は料金が戻ってくるといった条件を大きく打ち出して契約に結びつけています。
- Share(共有)
SNSやブログへの共有だけでなく、RIZAPを実際に体験したお客さん自身をCMその他で広くアピールすることで共有に成功。効果が広まり、ブランディングに成功しています。
5. AISASモデルにより消費者行動を知る戦略の重要性
最後になりますが、AISASモデルはデジタル時代における消費者の購買行動を理解するために重要です。
消費者は従来の一方通行の広告ではなく、自ら検索し、比較検討する能動的な行動を取るようになりました。消費者自ら、自発的な情報収集をしているのが特徴的です。
また、消費者の購入後のレビューやSNSでの共有が、次の購買行動に直接影響を与える時代です。企業はリアルタイムに市場の声を拾い上げる必要があります。リアルタイムにフィードバックする必要もあるでしょう。
双方向コミュニケーションが重要な時代のため、企業と消費者の関係が、従来の広告・販売から、双方向のコミュニケーションへとシフトしています。エンゲージメント戦略の強化も不可欠な時代です。
AISASを活用してエンゲージメント戦略を強化したい
特に、プロダクトマネージャーとしてキャリアを始めたばかりの皆さんは、これらの変化をしっかりと捉え、製品やサービスの改善に反映させることが求められます。
そのため、20代のビジネスマンにとっても、最新のデジタルマーケティング手法としてAISASを理解することで消費者のニーズをリアルタイムに拾うことが重要です。
そして、「Share(共有)」から「拡散」、消費者自身の「体験」や口コミなどをさらに「広げる」ことが重要な時代になりつつあることも理解しておく必要があります。
顧客と企業やブランドとの結びつきを深め、顧客エンゲージメントを高めることが重要です。そのことを知って、自らのスキルアップやキャリア成長につなげることが大切となっています。
最後にAISASの5つのフェーズのチェックリストも、一緒に活用して頂ければと思います。
AISASモデルの各フェーズでのチェックリスト
AISASの各フェーズで取り組むべき施策を確認する際に活用してみてください。
達成内容 | 注目 →Attention | 関心 →Interest | 検索 → Seach | 行動 → Action | 共有 Share |
認知拡大 | 興味・関心・評価育成 | 検索上位露出拡大 | 購入しやすさ、購入機会の増加 | シェアの増加 | |
コミュニケーション手段 | |||||
アクション内容 |
6. まとめ

AISASモデルは、「Attention」「Interest」「Search」「Action」「Share」という5つのフェーズを通じて、デジタル時代における消費者の購買行動を包括的に捉えるマーケティング方法です。
- Attention:多様なチャネルを活用し、消費者の目を引く仕掛けを作る。
- Interest:ブランドストーリーや製品の魅力を深く伝え、消費者の関心をかき立てる。
- Search:SEOやコンテンツマーケティングにより、正確な情報提供を行う。
- Action:ユーザーフレンドリーな購買プロセスとサポート体制を整え、実際の行動を促す。
- Share:口コミやSNSでの共有を促進し、次の購買行動を生み出す。
これらのプロセスを戦略的に活用することで、企業はデジタル時代の激動する市場で競争に勝つことができます。
プロダクトマネージャーとして、新たな時代の消費者行動をきちんと把握し、製品開発やマーケティング戦略に反映することでキャリアアップができます。
ぜひ、20代の皆さんが率先してAISASモデルを活用して、未来の市場を切り拓く第一歩を踏み出してください。
この詳細ガイドが、皆さんのマーケティング戦略やプロダクト開発の参考となり、スキルアップに役立つことを願っています。