皆さん、こんにちは!PdMのMaryです。
企業が持続的な成長を遂げるためには、現状を的確に把握し、未来を見据えた戦略を策定することが不可欠です。
特に、複数の事業を展開する企業にとって、限られた経営資源をどのように配分し、各事業をどのように成長させていくかは、企業全体の命運を左右する重要な課題と言えるでしょう。
そこで今回は、事業ポートフォリオ分析の王道、「BCGマトリックス」について、その奥深くに迫り、実践的な活用方法を詳細に解説していきます。
BCGマトリックスをマスターすることで、各事業の現状を把握し、最適な資源配分を行い、未来への投資戦略を明確化することで、企業全体の成長を最大化することができるでしょう。
BCGマトリックス:事業ポートフォリオ分析の王道
BCGマトリックス(別名:PPM分析、成長シェアマトリックス)とは、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が開発した、事業ポートフォリオ分析のためのフレームワークです。
縦軸に「市場成長率」、横軸に「相対的市場占有率」をとり、各事業を4つの象限に分類することで、事業の現状を把握し、今後の戦略を検討することができます。
市場成長率
市場成長率は、その事業が属する市場全体の成長率を表します。
一般的に、市場成長率が高いほど、将来的な収益拡大の可能性が高いと考えられます。
市場成長率は、過去のデータや業界予測などを参考に算出します。
相対的市場占有率
相対的市場占有率は、自社の市場占有率を、最大の競合他社の市場占有率で割った値です。
自社の市場における競争力を示す指標であり、相対的市場占有率が高いほど、競争優位性が高いと考えられます。
4つの象限:事業の現状と戦略
BCGマトリックスでは、市場成長率と相対的市場占有率の組み合わせによって、事業を以下の4つの象限に分類します。
- 花形(Stars): 高成長市場において高い市場占有率を誇る事業
- 現状: 将来の収益を牽引する、企業の柱となる事業。成長を維持するために、積極的な投資が必要となります。
- 戦略:
- 市場シェア拡大のための投資
- 新規顧客獲得のためのマーケティング強化
- 製品・サービスの改良
- 競合との差別化
- 人材育成
- 金のなる木(Cash Cows): 低成長市場において高い市場占有率を誇る事業
- 現状: 安定した収益を生み出す、企業の資金源となる事業。市場が成熟しているため、大きな投資は必要ありません。
- 戦略:
- 収益の維持・拡大
- コスト削減
- 効率化
- 既存顧客の維持
- 花形や問題児への投資
- 問題児(Question Marks): 高成長市場において低い市場占有率を持つ事業
- 現状: 将来的に花形になる可能性を秘めているが、現状では収益性が低い事業。戦略的な投資が必要となります。
- 戦略:
- 市場シェア拡大のための投資
- ニッチ市場への特化
- 新規顧客獲得
- 製品・サービスの差別化
- 事業撤退の検討
- 負け犬(Dogs): 低成長市場において低い市場占有率を持つ事業
- 現状: 収益性が低く、将来性も低い事業。撤退や事業縮小を検討する必要があります。
- 戦略:
- 事業の縮小
- コスト削減
- 撤退
- 売却
- 別事業への転換
BCGマトリックス活用のステップ:詳細解説
- データ収集: 各事業の売上高、市場規模、競合データなどを収集します。
- 正確なデータ: 信頼性の高いデータソースから、正確なデータを収集することが重要です。
- 最新データ: 最新の市場動向を反映したデータを使用します。
- 定量データと定性データ: 売上高などの定量データだけでなく、顧客満足度やブランドイメージなどの定性データも収集することで、より多角的な分析が可能になります。
- 市場成長率と相対的市場占有率の算出: 収集したデータに基づいて、各事業の市場成長率と相対的市場占有率を算出します。
- 市場成長率の算出: 過去の市場規模の推移や業界予測などを参考に、市場成長率を算出します。
- 相対的市場占有率の算出: 自社の市場占有率を、最大の競合他社の市場占有率で割ることで、相対的市場占有率を算出します。
- 事業の分類: 算出した市場成長率と相対的市場占有率に基づいて、各事業を4つの象限に分類します。
- 明確な基準: 各象限の境界線を明確に定義することで、客観的な分類を行います。
- 事業の特性: 事業の特性を考慮し、必要に応じて象限の境界線を調整します。
- 現状分析: 各象限に分類された事業の現状を分析し、課題や機会を明確化します。
- 強みと弱み: 各事業の強みと弱みを分析します。
- 外部環境: 市場動向、競合状況、顧客ニーズなどを分析します。
- 収益性: 各事業の収益性、成長性、将来性を分析します。
- 戦略立案: 分析結果に基づき、各事業に対する具体的な戦略を立案します。
- 成長戦略: 花形事業は、更なる成長を目指し、積極的な投資を行います。
- 維持戦略: 金のなる木事業は、安定的な収益を維持するために、効率化やコスト削減を図ります。
- 選択と集中: 問題児事業は、将来性を見極め、選択と集中を行い、有望な事業に投資を集中します。
- 撤退戦略: 負け犬事業は、撤退や事業縮小を検討します。
- 資源配分: 立案した戦略に基づき、人材、資金、時間などの経営資源を各事業に適切に配分します。
- 優先順位: 各事業の重要度と緊急度を考慮し、資源配分の優先順位を決定します。
- 投資: 成長が見込める事業には積極的に投資を行い、収益性が低い事業は投資を抑制します。
- モニタリングと見直し: 定期的に事業の状況をモニタリングし、必要に応じて戦略を見直します。
- 定期的な評価: 定期的にBCGマトリックスを作成し直し、各事業の状況を評価します。
- 環境変化: 市場環境の変化や競合の動向などを常に把握し、戦略に反映させます。
- 柔軟性: 状況の変化に応じて、戦略を柔軟に見直すことが重要です。
まとめ
BCGマトリックスは、事業ポートフォリオを分析し、最適な戦略を策定するための強力なツールです。
BCGマトリックスを活用することで、各事業の現状を把握し、限られた経営資源を効果的に配分することで、企業全体の成長を最大化することができます。
ぜひ、BCGマトリックスをあなたのビジネスにも活用し、持続的な成長を実現してください。
参考文献
- ボストン・コンサルティング・グループ. (2012). BCG戦略コンセプト. ダイヤモンド社.
- Henderson, Bruce D. (1970). “The Product Portfolio.” The Boston Consulting Group.