顧客中心で考える『ジョブ理論』を活用した新規事業のアイデア設計
皆さん、こんにちは!PdMのMaryです。
今回は、顧客中心の考え方でイノベーションを生み出すフレームワークとして注目されている「ジョブ理論」について解説し、それを活用した新規事業のアイデア設計について考えていきましょう。
ジョブ理論とは、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱したフレームワークで、「顧客は製品を購入するのではなく、”ジョブ”を解決するために雇う」という考え方です。
つまり、顧客が本当に求めているのはドリルそのものではなく、「穴を開ける」というジョブを解決することなのです。
この考え方を理解することで、顧客の真のニーズを捉え、より的確な製品やサービスを提供できるようになります。
ジョブ理論の構成要素
ジョブ理論は、以下の4つの要素で構成されています。
- ジョブ:顧客が達成したい目的や解決したい課題
- 状況:ジョブが発生する状況や背景
- 動機:顧客がジョブを解決したいと思う理由
- 成果:ジョブを解決することで得られる結果や価値
これらの要素を分析することで、顧客のニーズを深く理解し、効果的なソリューションを開発することができます。
新規事業アイデア設計への活用
ジョブ理論を新規事業のアイデア設計に活用する手順は以下の通りです。
- ターゲット顧客の特定:どのような顧客層をターゲットにするのかを明確化します。
- ジョブの特定:ターゲット顧客が抱えるジョブを特定します。
- 状況、動機、成果の分析:ジョブが発生する状況、顧客の動機、ジョブ解決によって得られる成果を分析します。
- アイデア創出:分析結果に基づき、顧客のジョブを解決するためのアイデアを創出します。
- アイデアの評価:ジョブ理論の観点から、アイデアを評価・選定します。
ジョブ理論を活用した新規事業の例
例えば、「忙しいビジネスパーソン向けの健康的な食事宅配サービス」を新規事業として考えてみましょう。
- ターゲット顧客: 20代後半から30代の、仕事が忙しく、健康的な食生活を送る時間がないビジネスパーソン
- ジョブ: 健康的な食事をしたい
- 状況: 仕事が忙しく、自炊する時間がない。外食は栄養バランスが偏りがちで、コンビニ弁当は飽きてしまう。
- 動機: 健康を維持したい、食生活を改善したい
- 成果: 健康的な食生活を送れるようになる、時間の節約になる、食事の準備の手間が省ける
これらの要素を踏まえ、以下のようなサービスを設計することができます。
- 栄養バランスを考慮した、健康的で美味しい食事を宅配する
- 忙しいビジネスパーソンでも手軽に利用できるよう、注文方法を簡略化する
- 様々なメニューを用意し、飽きさせない工夫をする
- 食材の産地や栄養成分などの情報を明確に表示し、安心感を提供する
このように、ジョブ理論を活用することで、顧客の真のニーズを捉え、より魅力的な新規事業を創出することができます。
まとめ
ジョブ理論は、顧客中心の考え方でイノベーションを生み出すための強力なフレームワークです。
新規事業のアイデア設計だけでなく、既存の製品やサービスの改善にも役立ちますので、ぜひ活用してみてください。
より深くジョブ理論を学びたい方は、クレイトン・クリステンセン教授の著書『ジョブ理論 イノベーションを成功に導く「顧客のジョブ」』を参考にしてみてください。
参考文献
- Clayton M. Christensen, Taddy Hall, Karen Dillon, David S. Duncan. (2016). Competing Against Luck: The Story of Innovation and Customer Choice. HarperBusiness.