大企業の新規事業、なぜ失敗する?壁を乗り越え成功に導く突破口とは?【詳細版】

man standing in front of group of men ビジネス

こんにちは、Maryです!

大企業が持つ豊富なリソースやブランド力は、新規事業開発において大きな武器となるはずです。しかし、実際には多くの大企業が新規事業の壁にぶつかり、苦戦しているのが現状です。

今回は、大企業が新規事業で抱えがちな壁と、それを乗り越え成功に導くための突破口を、より詳細な解説と具体的な事例を交えながらお伝えします。

大企業が抱える新規事業の壁

1. 既存事業の壁

  • 成功体験の呪縛: 過去の成功体験に囚われ、新しい発想や変化への対応が遅れてしまう。過去の成功事例を過度に重視することで、市場の変化や顧客ニーズの変化に対応できず、新規事業が失敗に終わるケースも少なくありません。
  • 組織の硬直性: 既存事業中心の組織構造や意思決定プロセスが、新規事業のスピード感や柔軟性を阻害する。階層構造が複雑で、意思決定に時間がかかり、市場の変化に迅速に対応できないことがあります。
  • リソース配分の偏り: 既存事業の維持・拡大にリソースが集中し、新規事業への投資が不足する。新規事業は、初期段階では収益性が低く、リスクも高いため、既存事業に比べてリソース配分が後回しになる傾向があります。
  • カニバリゼーションの懸念: 新規事業が既存事業の顧客を奪ってしまう可能性を恐れ、新規事業の展開を躊躇してしまう。

2. スピードの壁

  • 意思決定の遅延: 複雑な承認プロセスや多層的な組織構造により、意思決定に時間がかかり、市場の機会を逃してしまう。
  • 開発の遅延: 慎重な計画立案や完璧主義にこだわり、開発スピードが遅くなり、市場投入のタイミングを逃してしまう。
  • 市場の変化への対応遅れ: 変化の激しい市場において、迅速な対応が求められるにも関わらず、意思決定や開発の遅れにより、競合に後れを取ってしまう。

3. 人材の壁

  • アントレプレナーシップの不足: 新規事業を推進するために必要な、リスクテイク精神、リーダーシップ、創造性、実行力などを兼ね備えた人材が不足している。
  • 専門性の不足: 新規事業の分野における専門知識や経験を持つ人材が不足している。
  • 人材育成の不足: 新規事業に必要なスキルやマインドセットを育成するための研修やプログラムが不足している。
  • 評価制度の不適合: 既存の人事制度では、新規事業における成果や貢献を適切に評価できない。

4. リスク許容度の壁

  • 失敗への恐れ: 失敗を許容しない企業文化が、新規事業への挑戦意欲を阻害する。
  • 短期的な成果主義: 短期的な業績目標に縛られ、長期的な視点で新規事業を育成できない。
  • 責任の所在の不明確化: 新規事業の失敗に対する責任の所在が曖昧で、担当者がリスクを負いづらい環境になっている。

壁を乗り越え、成功に導く突破口

1. 経営層のコミットメントと明確なビジョン

  • トップダウンのリーダーシップ: 経営層が新規事業の重要性を明確に示し、全社を挙げて取り組む姿勢を示す。
  • ビジョンの共有: 新規事業が目指す未来像を具体的に示し、社員全体の共感を得る。
  • 長期的な視点: 短期的な収益にとらわれず、長期的な視点で新規事業を育成する。

2. 新規事業に特化した組織と人材

  • 独立組織の設立: 既存事業の組織とは独立した、意思決定の速い小規模なチームを編成する。
  • 外部人材の活用: 新規事業に必要なスキルや経験を持つ人材を、外部から積極的に採用する。
  • 社内公募: 社内から、新規事業に情熱を持つ人材を公募し、抜擢する。
  • 人材育成プログラム: 新規事業に必要なスキルやマインドセットを育成するための研修やプログラムを導入する。
  • 評価制度の見直し: 新規事業の成果や貢献を適切に評価できるような、柔軟な評価制度を導入する。

3. アジャイルな開発と検証プロセス

  • リーンスタートアップ: 「構築 – 測定 – 学習」のサイクルを回し、仮説検証型で開発を進める。
  • MVP: 必要最小限の機能を備えた製品を開発し、早期に市場に投入して顧客からのフィードバックを得る。
  • アジャイル開発: 短いサイクルで開発と検証を繰り返し、市場の変化に柔軟に対応する。
  • データ分析: 顧客データや市場データを分析し、意思決定に活かす。

4. オープンイノベーションの推進

  • 外部連携: スタートアップ、大学、研究機関など、外部との連携を強化し、新たな技術やアイデアを取り入れる。
  • 社内ベンチャー: 社員のアイデアを事業化するための制度を設け、社内からのイノベーションを促進する。
  • アクセラレータープログラム: スタートアップを支援するプログラムを通じて、新規事業の創出を促進する。
  • コーポレートベンチャーキャピタル (CVC): 有望なスタートアップに投資することで、新規事業の創出を支援する。

5. リスク許容度の高い企業文化の醸成

  • 心理的安全性の確保: 失敗を恐れずに挑戦できる、心理的安全性の高い環境を作る。
  • 失敗からの学習: 失敗を責めるのではなく、そこから学び、次の挑戦に活かすことを奨励する。
  • 挑戦を評価する制度: 新規事業への挑戦を評価する人事制度や表彰制度を導入する。

成功事例

  • ソニー:
    • 新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」を通じて、数々の新規事業を生み出しています。
    • 社員のアイデアを事業化する「新規事業提案制度」を設けています。
    • プレイステーション、aibo、MESHなど、SAPから生まれた successful な新規事業を多数輩出しています。
  • 富士フイルム:
    • 写真フィルム事業の衰退を機に、化粧品や医療機器など多角的な事業展開に成功しています。
    • M&Aやオープンイノベーションを積極的に活用し、新規事業を拡大しています。
    • アスタリフト(化粧品)、医療用画像診断システムなど、既存事業で培った技術を活かした新規事業を創出し、成長を続けています。

まとめ

大企業の新規事業開発は、決して簡単な道のりではありません。しかし、壁を乗り越え、突破口を見つけることで、大きな成長とイノベーションを生み出すことができます。

今回ご紹介した内容を参考に、ぜひあなたの企業でも新規事業開発に挑戦し、新たな未来を切り拓いてください。

参考資料:

  • 書籍:「両利きの経営」―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く (著者:チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン)
    • 既存事業の深化と新規事業の探索を両立させる「両利きの経営」について解説されており、大企業の新規事業戦略に役立つ考え方が得られます。
    • 両利きの経営
  • 書籍:「オープンイノベーションの教科書」 (著者:榊原 郁恵、鍋島 勢理、矢部 輝喜)
  • 記事:「大企業における新規事業開発の課題と解決策|宮木俊明 – note」
  • 書籍:「イノベーションのジレンマ」技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (著者:クレイトン・M・クリステンセン)
    • 大企業が破壊的イノベーションに対応できない理由を分析し、新規事業を成功させるための戦略を提示しています。
    • イノベーションのジレンマ

これらの情報を参考に、大企業での新規事業を成功させてください。

タイトルとURLをコピーしました